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ACLエリート2026/27【日本勢攻略ガイド】全北現代モータースの現在形|柏に逆転勝ち、残るは神戸・鹿島・G大阪・京都

9月16日(水)19:00、柏レイソルが2018年以来となるACLの舞台、敵地・全州ワールドカップスタジアムで全北現代モータースと対戦した。結果は2-1で全北の逆転勝ち。攻め込んだのは柏だったが、全北は「個の力」で勝ち点3をもぎ取った(柏レイソル公式)。

相手は2025年のKリーグ1とコリアカップを制覇した「ダブル王者」でありながら、今季は韓国メディアに「ダブルの全北はどこへ行った」と問われる変調を見せているチーム。前任のグス・ポイェトから鄭正溶(チョン・ジョンヨン)監督への交代1年目、その現在形を、韓国メディアの評論も交えて徹底整理する。

本記事は柏戦のレビューと、リーグステージで全北と残り4試合を戦う神戸・鹿島・G大阪・京都、および日本のサッカーファンのための「全北現代モータース攻略ガイド」としてまとめ直したものだ。

【9月16日(水)初戦 全北現代モータース 2-1 柏レイソル】

  • 前半30分:柏が弓場堅真のドリブル突破から先制。支配率70%超で前半をリードして折り返す
  • 後半48分:GKが左クロスを処理しきれずティアゴ・オロボが頭で同点弾
  • 後半69分:左からカットインしたイタロがミドルシュートを決めて逆転
  • 柏は83分にも決定機を作るが決めきれず、黒星発進
  • 全北にとっては「ACLは反証を積む舞台」で白星(本稿の見立てが実証された形)
目次

0. 【追記】初戦レビュー:全北の強さは「構造」ではなく「個」だった

敵地・全州での初戦は、本稿が予想した通りの構図になった。

柏はリカルド・ロドリゲス監督のもと、7割を超えるボール保持率で押し込み続けた。中央を固める全北の守備をなかなか崩せない時間が続く中、30分にGK小島亨介のロングキックから垣田裕暉が頭で繋ぎ、ボールを収めた弓場堅真が左からドリブルで中央へ侵入。相手DFをかわして左足を振ると、低く鋭いシュートがゴール左隅に刺さって先制に成功した。

ところが後半に入ると天秤が傾く。48分、左からのクロスを飛び出したGK小島が処理し切れず、ティアゴ・オロボに頭で押し込まれて失点。69分には中盤で中途半端なクリアボールを拾われると、左からカットインしたイタロに見事なミドルシュートを叩き込まれ、逆転を許した。柏は83分、馬場晴也が決定機を迎えるが枠を捉えられず、試合は2-1で終了した。

この結果が示したのは、本稿セクション4〜5で整理した「全北の現在形」そのものだ。 ビルドアップは脆く、ポゼッションでは圧倒的に劣る。それでもオロボ、イタロといった個の力と層の厚さで試合の帰趨を決める。日本勢が全北と戦う際に「ボールを握ること」は勝利の必要条件ではないことを、柏戦が実戦で証明した格好だ。

参考:柏の次節は10月14日(水)ホームでポートFC(タイ)と対戦。

1. 【追記】日本勢×全北の対戦カードと大会フォーマットのおさらい

AFCチャンピオンズリーグエリート 2026/27は今大会から本戦が24クラブから32クラブに拡大。東西それぞれ16クラブが1つのリーグを形成し、各クラブ8試合を戦って上位8クラブがラウンド16へ進出する。優勝チームにはFIFAインターコンチネンタルカップ2027とFIFAクラブワールドカップ2029への出場権が与えられる。

全北はリーグステージで日本勢5クラブと対戦する。韓国勢同士の対戦はないため、日本のファンにとっては「韓国ビッグクラブの現在形」を知る機会が5試合にわたって与えられる構成だ。初戦(9/16)を終えた時点の日程・結果は以下の通り(JFA公式マッチスケジュール参照)。

節日時ホームスコアアウェイ会場
MD19/16(水)19:00全北現代モータース2-1柏レイソル全州W杯スタジアム
MD210/14(水)19:00ヴィッセル神戸–全北現代モータース神戸市御崎公園球技場
MD511/25(水)19:00鹿島アントラーズ–全北現代モータースカシマサッカースタジアム
MD612/2(水)19:00全北現代モータース–ガンバ大阪全州W杯スタジアム
MD72027/2/9(火)19:00京都サンガF.C.–全北現代モータース京都スタジアム

※節は全北側のリーグステージ節次。時刻はすべて現地・日本時間(韓国と同時刻)。

全北の日本以外の相手

  • ホーム:上海海港、ジョホール・ダルル・タクジム
  • アウェイ:北京国安

両チームのポジショニング(全北×柏)

全北現代モータース柏レイソル
出場資格2025年Kリーグ1優勝2025年J1リーグ2位
ACL出場17回目(前回2023/24)5回目(前回2018)
抽選ポットポット1ポット3

全北は東地区・韓国勢では最多となる17回目の出場を誇る、アジアサッカーを代表するビッグクラブだ(ACL優勝歴も2006年・2016年の2回がある)。

2. 監督・鄭正溶という人物

2025年12月に就任した鄭正溶(チョン・ジョンヨン)監督は、クラブ史上10代目の指揮官(K League United)。

  • 金泉尚武(キムチョン・サンム)を率いてKリーグ2優勝・昇格(2023)、その後Kリーグ1でクラブ史上初となるファイナルA(上位リーグ)2年連続進出(2024・2025)
  • 2019年FIFA U-20ワールドカップで韓国史上初となるFIFA主催大会の決勝進出(準優勝)を指揮
  • 運動生理学の博士号を持つ「学究型・成長型」指導者として知られる

前任のグス・ポイェト監督は2025年のダブル達成にもかかわらず同年12月に突如退任した。長年パートナーだった助監督マウリシオ・タリッコが審判をめぐる人種差別騒動で辞任したことに端を発し、コーチ体制の亀裂やリーグの裁定姿勢との「違い」が背景と報じられている(Wikipedia 2026 Jeonbuk season)。クラブは2026年を「革新と成長2.0」の初年度と位置づけ、「ポイェトが作った土台に鄭監督がディテールを足す」役回りを期待しての就任だ。

3. 今季の調子:「ダブルの全北はどこへ」

今季のKリーグ1では、鄭正溶の全北は想定以上に苦しんでいる。ただし【9/17追記】ACLでは初戦を逆転で制し、「反証を積む舞台」で白星を挙げている点にも注意したい。

  • 7月11日、蔚山との「ヒョンデ対決」をアウェイで3-1制して2位に浮上したところまでは順調に見えた(連合ニュース)
  • 8月22日時点で23試合9勝7分7敗・勝点34の4位。首位FCソウルとは13点差に離され、コリアカップ16強ではK3リーグの唐津市民クラブにPK戦(3-5)で敗退(新聞ピム)
  • 韓国メディアは「ダブルを達成した全北はどこへ行ったのか……鄭正溶サッカーが全州で苦悶している」と報じる事態に(新聞ピム)
  • 8月下旬時点では4試合連続で失点しクリーンシートを記録できていなかったが、9月に入り蔚山戦・浦項戦を完封で連勝するなど守備は上向きつつあった(ナムウィキ、Daumニュース)
  • 9月12日のFCソウル戦(ホーム・全州)は1-2で敗戦。単独首位のFCソウルは29試合19勝5分5敗・勝点62で2位蔚山HDに勝点15差の独走態勢に。「ホームで首位に競り負けてACL入り」という厳しい状態で迎えた(MKスポーツ)
  • 【9/17追記】ACL初戦(9/16)は柏の先制を浴びるも、オロボのヘッドとイタロのミドルで2-1の逆転勝ち。 国内では批判を浴びるチームにとって、本大会はまさに「反証の舞台」になっている。10月中旬の神戸戦までの間にKリーグでの流れも再確認しておきたい

なお柏は、ACL前の9月11日の京都戦を3-2で逆転勝利し、7試合消化・5勝2敗・勝点15の3位(1位FC町田、2位神戸)でV字回復していた。つまり9/16は「調子を落とした王者・全北」対「勢いを取り戻した3位・柏」という構図だったが、全北は中身のない崩しでも個で勝てることを示した。

4. フォーメーションと基本システム — 理想と現実のギャップ

基本システムは4-2-3-1。8月25日の金泉戦の先発では、GKソン・ボムグン、4バックにチェ・ウジン、パク・ジス、チョ・ウィジェ、キム・テヒョン、2ボランチにキム・ジンギュとメン・ソンウンが入った。最前線のブルーノ・モッタをイタロ、カン・サンユン、イ・ドンジュンの3人が後方から支える布陣で、この試合で李昇祐(イ・スンウ)はベンチスタートだった(スポーツ朝鮮経由・Daumニュース)。

理想とされているサッカー

鄭監督が掲げるのは「効率的なビルドアップ」と素早い攻撃展開だ。フォアバックを基盤に後方からボールを回し、フルバックを積極的に前進させてサイドで数的優位を作る。金泉時代と同様、活動量とプレスでボールを奪って素早く相手陣地へ運ぶサッカーも追求している(新聞ピム)。

現実に起きていること

韓国メディアの分析が指摘するのは、理想との乖離だ。

  • 後方でのボール保有時間は増えたものの、相手プレスを破って前進する速度が足りない。センターバックとボランチがボールを回している間に相手守備陣が整い、結局サイドに流してクロスを上げるか、個の突破に頼る展開が繰り返される
  • システムは4-4-2、4-2-3-1、4-5-1と往還し、最前線のコンビネーションを試行錯誤中。アイデンティティが固まっていない
  • シュート数はリーグ1位クラスまで放っているのに決定力が伴わず、「攻撃を続けても点が取れない→バランスが崩れる→カウンターを食う」の悪循環に陥っている
  • 鄭監督自身が試合後、「最も解けない問題は後方からのビルドアップで、ミスが起きている」と認言

(いずれも新聞ピム)

【9/17追記】柏戦でもこの図式はそのまま表れた。柏にボール保持率70%超を許し、ビルドアップの脆さを露呈しながら、失点は「個」に委ねる形で奪った。攻略の焦点は「いかに彼らの個を封じるか」であり、「いかにボールを奪うか」ではない。

ナムウィキの戦術解説ページも「実利寄りのサッカー」「4-2-3-1」「テンポの遅いU字型のビルドアップ」「単調なクロス中心の攻撃」と整理しており(나무위키 정정용호)、この見立てと一致する。

5. 主要メンバーと注目選手

2026年8月末の実戦先発や公式記録をもとに整理した。李昇祐は8月末に蔚山戦で肩を脱臼し相手監督と接触する騒動もあったが、9月5日の浦項戦(2-0)で先発復帰し1ゴール1アシストと結果を残している(スターニュース)。

【9/17追記】柏戦でゴールを奪ったのはオロボ(48分)とイタロ(69分)。 本稿で「得点力の内訳上、攻撃は個の突破に依存」と指摘した外国籍アタッカー2人がそのまま結果を出した。彼らを含む主要メンバーは以下の通り。市場価値データはTransfermarkt参照。

選手No.ポジションメモ
ソン・ボムグン31GK元湘南ベルマーレ。日本のファンにも馴染みのある正GK
パク・ジス5DF武漢三鎮から今季新加入の大型CB
チョ・ウィジェ4DF釜山IParkから今季加入
キム・テファン23DF元蔚山の37歳ベテラン
キム・ジンギュ97MF中盤の核。チーム内でも高評価(推定市場価値120万ユーロ)
メン・ソンウン6MF金泉尚武時代から鄭監督下で活躍するボランチ
ブルーノ・モッタ99FWFC安養からレンタル加入。先発の軸を担うFW
イタロ95FWブラジル・チャペコエンセから今季加入。柏戦で逆転弾
カン・サンユン13MF若手中盤
イ・ドンジュン7FW3得点でチーム内得点ランク2位
李昇祐(イ・スンウ)10MF/FWチーム最多8得点。元バルセロナ育ちのエース
ティアゴ・オロボ9FW元大田ハナシチズン。柏戦で同点弾。12/2にG大阪と戦う身でもある
アンドレア・コンパーニョ96FW元天津津門虎。チーム最高の推定市場価値(200万ユーロ)
パトリック・トゥマシ21FWガーナ出身。層を厚くする3人目の外国人FW

得点力の内訳が示す通り、現在全北の攻撃は李昇祐の個人技に依存する側面が強く、そこをどう封じるか、あるいは出場できるかどうか自体が第一の読み筋になる。柏戦では李昇祐のゴールこそなかったが、「個の一撃」という回路はオロボとイタロが引き継いでいる。

6. 日本のクラブが気を付けるべきこと6つ

ここまでを踏まえ、柏をはじめ日本勢が対全北で警戒すべきポイントをまとめる。

① サイド→クロスの定型攻撃は「数」で迎撃する。 現在の全北はセンタリング頼みの単調な攻撃が目立ち、クロスボールの量は多い。中央に厚く入り競り勝つ準備と、クリアされた後のセカンドボール処理が基本ラインになる。柏戦の同点弾も左クロスへのGKの飛び出し判断ミスから生まれた。空中戦とGKを含む対応の精度が勝負を分ける。

② 後方ビルドアップは今季最大の「付け根の弱さ」。 監督自身が認める通り、後方からの組み立てでミスが増えている。フォワードからの激しいプレスは有効打になり得る。※ただし柏戦では柏がプレスとポゼッションで主導権を握りながら敗れた。プレスの効果は「奪うこと」よりも「個の一撃に持ち込ませないこと」で測るべきだ。

③ 個の能力を安易に一対一で迎えない。 シュート数リーグ上位の相手には、セット場面や個の突破で忽然と決定が生まれる。柏戦ではイタロの中途半端なクリアのこぼれからのカットインミドルが決勝点になった。「支配していても失う」のが全北戦の怖さで、ボールロストの質(どこで失うか)を厳しく管理する必要がある。

④ 「調子の悪い王者」こそ危険。 国内で批判を浴びる全北にとって、ACLは反証を積む絶好の舞台であり、鄭監督にとっても立場を支える大会だ。柏戦でその反証が現実になった。力を温存する理由がなく、各日本勢は全力布陣を想定すべきだろう。

⑤ 日程の非対称を読む。 Kリーグ1は試合消化数が多く選手の試合感覚は十分だが負荷も大きい。対照的にJクラブ側はシーズン進行時期が異なる(10月〜12月の神戸・鹿島・G大阪戦はJ1も佳境、2月の京都戦は開幕直後)。ローテーションと準備の設計で差を埋めたい。

⑥ 敵地・全州の環境と「試合巧者」であること。 韓国でも屈指の熱狂的なサポーターを抱える本拠地でのアウェイ戦術(先制後の落とし方、対空・対戦闘的な場面での意識合わせ)は普段のJ1以上に重要になる。逆にJクラブのホーム(神戸・鹿島・京都)では「押し込むだけで終わる」ことへの警戒こそが必要だ。

7. 過去の柏×全北対戦成績〜そして日本勢全体への視点

日本ファンにはおなじみの歴史もある。日本サッカー協会の大会前資料によれば、柏はACLで全北と2018年までに強く戦ってきた。Jリーグ公式の集計では柏が5勝1分2敗と勝ち越していたが、2018年大会のグループステージではホームでも0-2で敗れ、当時は韓国メディアが「柏恐怖症に打ち勝った」と報じた。そして【9/17追記】8年ぶりの再戦となった9/16は敵地で2-1の敗戦。通算は柏の5勝1分3敗となった。

ただ、この歴史はあくまで「話のタネ」だ。より重要なのは、全北が東地区で戦う日本勢5クラブそれぞれの視点。神戸(10/14・ホーム)、鹿島(11/25・ホーム)、G大阪(12/2・アウェイ)、京都(2027/2/9・ホーム)は、柏戦で得られた「全北攻略の最新データ」を最大限活用できる立場にある。本記事がその共通の下敷きになれば幸いだ。

まとめ

  • 全北現代は2025年のKリーグ1・コリアカップ2冠のダブル王者で、ACL出場17回を誇るアジアの名門
  • 今季は鄭正溶監督体制1年目で国内は苦戦中。ただACL初戦(9/16)は柏に逆転勝ち。「反証の舞台」で白星を挙げた
  • システムは4-2-3-1が基本だが、4-4-2/4-5-1へのスイッチも含め模索が続く。後方ビルドアップのミスとクロス依存が構造的な弱点
  • 一方で李昇祐(8得点)を筆頭とする個の力と層はリーグ屈指。柏戦ではオロボとイタロの2発で逆転したように、ボール支配率が低くても試合を決められる
  • 全北はリーグステージで日本勢5クラブと対戦。残りは神戸(10/14)・鹿島(11/25)・G大阪(12/2)・京都(2027/2/9)

【9/13追記】ACLエリート2026/27はDAZN独占配信で、地上波・BS放送はなし。全北戦を観戦するなら、DAZNに登録していればスマホ・PC・テレビから視聴できる。配信・放送の詳細はJリーグ公式のACLエリートページと各クラブ公式でも確認しよう。

次の全北戦(神戸戦・10/14)からは、キックオフ前に全北の直近Kリーグ成績と併せてDAZNでチェックするのがおすすめだ。

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この記事を書いた人

スポーツ全般が好きですが、
特に野球、サッカーが好きです。

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