はじめに:天才・茨田陽生のニュースに寄せて
他クラブのリリースではありますが、レイソルサポーターとして見過ごせない、そして少し胸がざわつくニュースが飛び込んできました。
湘南ベルマーレのMF 茨田陽生選手が契約満了。
湘南での4年間、主力として活躍していただけに驚きもありましたが、それ以上に私の脳裏に浮かんだのは、黄色いユニフォームを着て日立台で輝いていた、若き日の「バラちゃん」の姿でした。
今回は、柏レイソルユースが生んだ傑作・茨田陽生選手へのリスペクトと、これからの彼への想いを書きたいと思います。
レイソルユースが生んだ「早熟の天才」
今のJリーグファンは「湘南の汗かき役」としての茨田選手を知っているかもしれませんが、レイソルサポーターにとって彼は、正真正銘の**「天才」**でした。
柏レイソルU-18からトップ昇格を果たし、なんと高校生のうちにプロデビュー。 あの厳格なネルシーニョ監督がその才能に惚れ込み、10代からスタメンに抜擢し続けたことからも、彼の非凡さがわかります。
力みのないフォームから繰り出されるスルーパス、相手の逆を取るターン。 「柏の未来は明るい」と誰もが確信した存在でした。
忘れられない2011年、伝説の「へなちょこシュート」
茨田選手を語る上で、レイソルサポーターなら絶対に外せないシーンがあります。
2011年 J1リーグ最終節 vs 浦和レッズ。 昇格即優勝という偉業がかかった、運命の埼玉スタジアムでの一戦です。
2-1でリードして迎えた後半、試合を決定づける3点目を決めたのが、当時20歳の茨田選手でした。
CKのこぼれ球がペナルティアーク付近の彼の前へ。 「ふかせず枠へ!」という意識で放ったミドルシュート。 正直に言います。あれ、どう見ても**「へなちょこ」**でしたよね(笑)。
弾丸シュートでもなく、美しい弧を描いたわけでもない。ボテボテとバウンドしたボールは、しかし絶妙なコースでGKの手を弾き、ゴールネットに吸い込まれていきました。
「あれが入るのか!!」
驚きと、優勝を確信した歓喜。 「天才は、こういう不思議な運も持っているんだ」 そう思わされた、私のサポーター人生の中でもベストゴールの一つです。あのゴールがなければ、最後のハラハラ感はもっと凄かったはずですから。
湘南で見せた「戦える選手」への進化
その後、大宮アルディージャを経て2020年に湘南ベルマーレへ移籍。 正直、最初は驚きました。「走るサッカー」の湘南と、「テクニシャン」の茨田選手。水と油ではないかと。
しかし、彼は変わりました。 レイソル時代の上手さはそのままに、守備で泥臭く走り、体を張り、ボランチだけでなくウイングバックまでこなす。 「巧いだけの選手」から、**「戦術理解度が高く、チームのために戦える選手」**へと、見事な進化を遂げていました。
古巣のファンとして、その姿は頼もしくもあり、対戦相手としては本当に嫌な選手になっていました。
最後に:まだ終わる選手じゃない
今回の契約満了は一つの区切りですが、30代前半、彼の技術と経験は円熟味を増しています。 J1優勝を知り、降格も知り、スタイルが異なるクラブで適応してきた彼の経験値は、どのクラブにとっても喉から手が出るほど欲しいはずです。
次のステージがどこになるかは分かりません。 でも、本音を少しだけ言わせてもらえば……
「今のレイソルに、バラちゃんみたいな選手が必要なんじゃないか?」 「また日立台で、あの『へなちょこ』だけど決定的な仕事をする姿が見たい」
そんな淡い期待を抱きつつ、まずは湘南での4年間にお疲れ様と言いたいです。 ありがとう、茨田陽生。 君の次のキックオフを、ずっと応援しています。
